2017年8月6日(日)
憧れの日本アルプスデビューを果たすべく、人気の縦走路、常念岳〜燕岳を1泊2日で歩いてきました。人生初のアルプス、人生初の1泊登山は私にとって今までの山行とは異なるスケールの大きな思い出となりました。まずはそのうちの1日目、常念岳〜大天井岳の様子をお届けします。
常念岳(じょうねんだけ)
標高2857m。日本百名山。北アルプスの東端に位置しており、麓の安曇野から全容を眺めることができる。北アルプスの主要な山の中では、比較的街に近い山である。安曇野から見られる綺麗なピラミッド型の山容が特徴で、安曇野のシンボル的存在。
2日目の記事、後編・大天井岳〜燕岳はこちら↓↓
地図・行程
今回のルート、常念岳〜燕岳は上図の通り北アルプスの南東部に当たります。
槍ヶ岳や穂高岳など北アルプスの主脈を成す山列の隣に位置しており、稜線上ではずっと槍ヶ岳や穂高岳を間近で眺めることができます。
今回のルートです。1日目は一ノ沢登山口から常念岳を経て大天荘までの赤いルート、2日目は大天荘から燕岳まで縦走して中房温泉に下山する青いルートです。
山と高原地図は北アルプス南部のオールスターと共に「槍ヶ岳・穂高岳」編に掲載されています。
【所要時間】 11時間08分 (行動時間9時間16分 休憩時間1時間52分)
1.豊富な水とともに歩く沢沿いルート
8月5日(土)深夜。登山者にはおなじみの夜行バス、毎日あるぺん号で竹橋の毎日新聞社前を出発します。竹橋駅周辺には大きなザックを担いだ登山客がうようよと。大手町のオフィス街や皇居といった東京を象徴する場所のすぐそばとは思えない光景が広がっていました。
人生初のアルプス、人生初の山小屋泊。期待と不安で胸がいっぱいの私を乗せ、バスは出発しました。
一ノ沢登山口に降り立ったのは4:30頃。まだ辺りは真っ暗でしたが、登山口にある小屋の中で準備をするうちに薄明るくなってきました。
軽食を取り、出発の準備も整った5時頃には、ヘッドライト無しで問題なさそうな明るさに。雲が多い気がするのが気にかかります。
立派なトイレと水場があります。この横を抜けて、いざスタートです。
すごく近代的な看板。さすがはアルプスです。
現在の標高が1260m。常念岳山頂は2857m。実に1600mも登らないといけないということですね。
山の神。看板一つ一つに手が込んでいて、さすがだなあと。車と家のイラストで行き先を表していて、なかなかかわいい看板です。
かと思えば、手書きの看板もあったりします。メリハリがすごい。
一ノ沢登山口からのルートは、基本的に沢沿いを進んでいきます。早朝の沢沿いは比較的涼しく気持ちがいいです。
稜線の様子が少しだけ見えてきました。雲は多めだが、まだ展望はありそうか。
登山道の脇でも、色々な場所から水が湧き出ています。
沢の水量も全く衰える気配がありません。本当に水が豊富な場所なのですね。
「王滝」なのか「大滝」なのか、はっきりしてほしい。
ここまではほぼ平坦なので、距離は進んでいても全く標高を稼げていません。
笠原沢。英語表記は「KASAHARA」。沢はどこにいったのでしょうか。
晴れていたら、最高に気持ち良さそうな道なのだけれど…。すでにだいぶ雲が占領し始めています。
胸突八丁。2000m超えてきました。ここら辺は高度感ある道が多くて楽しいです。それにしても、登山道の整備が本当に行き届いていて、非常に歩きやすい。さすがは北アルプスです。
最終水場。稜線上の小屋では宿泊客以外は水が有料なので、ここで水を汲んでおきましょう。
第1ベンチ。常念小屋まであと800m。カウントダウンの始まりです。
ちなみに、最終水場あたりからゴリゴリ登っていきます。前半の平坦な道が嘘のよう。
第2ベンチ。常念小屋まであと500m。
第3ベンチ。常念小屋まであと300m。急傾斜のため、たった100mが遠く感じます。
ようやく常念乗越に到着。ついに稜線上に出ました。それにしても、清々しいほどのガスです。虚無。
常念小屋越しに、少しだけ青空がこんにちは。しかし、槍穂高の勇姿はほとんど拝めずお預けですね。
常念小屋のテント場。テント泊装備を背負ってこんな所まで歩けるようになる日が来るのでしょうか…。へなちょこハイカーの私には想像もつきません。
2.ガスに包まれた常念岳山頂〜ライチョウとの遭遇
常念岳方向。こちらもかなりガスってしまっていますが、山頂付近は少し抜けている気もします。希望を持って登っていきましょう。
常念岳山頂への道は、岩が多くて地味に歩きづらかった印象です。何より、ガスのせいで登っているのか下っているのかよく分からない写真になってしまいましたね。
振り返ってみると、常念小屋周辺は少し雲が取れてきたようです。刻一刻と表情を変える雲模様も、これはこれで面白いことに気付かされました。
雲と絶景のせめぎ合い。きっとすごい絶景なのだろう、ということは谷間しか見えなくても伝わってきます。この方向に槍ヶ岳が見えるはずなのですが…
頂上が見えてきました。人影もいくつか見えますね。相変わらずのガスガスです。
常念岳山頂到着。2857mは私の最高到達点更新です。数時間後にまた更新しますが。
岩がゴロゴロしていますが、山頂直下は意外と広くてのんびりできます。
初めてライチョウに遭遇。ピョコピョコ歩いてすごくかわいい。悪天候の方が会える可能性が高いと言われますよね。これもガスの功名か。
蝶ヶ岳方面を眺めてみると、稜線の東側(左側)は完全にガス。右側の梓川沿いの谷間だけはよく見えています。
1時間近く粘りましたが、槍穂高は雲に巻かれたまま。天候に不安しかないので、先を急ぐことにします。
3.ガスの中の稜線歩き〜晴天だったらなあ・・・
そそくさと常念小屋まで下山。少し雲は上がってきた感じですかね。
すでに登山開始から約8時間。だいぶ疲れてきましたが、大天荘まで行かないといけないので少しだけ休んで出発します。
横通岳への登り道。そんなにきつい上り坂では無いはずだが、散々歩いてきた体には堪えます。
横通岳。登山道は頂上を通らず、西側(左側)を巻いていきます。横を通るだけの山だから横通岳という名前なのでしょうか。ここのカールもスケールが大きく、北アルプスでなければ十分主役をはれる風貌だと思うのですが、北アルプスの層の厚さの中にあっては通過点の一つとなってしまいます。
ふと穂高岳方向を振り返ると、涸沢カールが顔を出してくれました。北向きのカールとはいえ、8月でもあんなに雪が残っているとは。
東天井岳。いちいち良い山だなあと。個人的には遠目で登山道がくっきりと分かる景色が好きです。
横通岳と常念岳を振り返る。歩いてきた道を振り返る瞬間は至福のひと時です。
雪渓って遠くから見るときれいだなあと思いますが、近くで見ると意外と土とかで汚くてがっかりしますよね。遠くから眺めるものです。
大天井岳へと続く稜線。雲に向かって歩いていくかのような錯覚を覚えます。
結局この日はこれ以上雲のラインは上がってくれず。北アルプスの本気は翌日に持ち越しです。
ようやく大天荘が見えてきました。終盤は雨もちらついてきましたが、本降りになる前にたどり着いてよかった。
大天井岳の頂上までは片道約10分なので、天気によっては今日のうちに一度登ろうかと思っていましたが、雨も強くなってきそうなので断念。大天荘で大人しく体力を回復させることに。
どんどん外の雨風が強くなっていく中、翌日の好天を期待して早々に就寝しました。
まとめ
北アルプスデビュー戦はガスに悩まされることになりましたが、その魅力の一端を感じることができました。
一つ一つ壮大な地形は、ガスで全容が見えなくとも十分絶景であることを見せつけ、
青空の代わりにライチョウが私を歓迎してくれました。
とはいえ、北アルプスの絶景を堪能しきっていないのは事実。心残りは翌日に取っておくことにしましょう。
大快晴の中を燕岳へ向かって歩いていく2日目の記事、後編・大天井岳〜燕岳はこちら↓↓