短いオフシーズンはあっという間に過ぎ去り、2020シーズンが始まりました。昨年までの全豪シーズンと言えば、「とにかく全豪オープンが全て」。TOP選手にとってはその他250以下の大会は前哨戦にすぎない、という印象でしたが、今シーズンからはATPカップの新設に伴い、TOP選手達のピーキングも少し変わったのかなと思います。
年初からフルパワーでATPカップと全豪オープンというビッグイベントを戦い抜いた選手達が今シーズンどのようなコンディション推移になっていくかは非常に興味深い所かと思っています。
オーストラリアをはじめ南半球を中心に繰り広げられた熱戦を振り返っていきましょう。
2020全豪シーズンの結果まとめ
2020全豪シーズン獲得ポイントTOP30
全豪シーズンのランキング、と言っても要は全豪後のレースランキングとほぼ同じなので、足早に行こうと思います。ちなみに、全豪後のレースランキングと少しだけ差異が生じているのは、当記事の起点を2020Week1にしているからですね。(レースランキングの起点は前年度パリマスターズ終了後)
1位はATPカップ、全豪OP13戦全勝のジョコビッチ。試合内容は怪しい場面も多々ありましたが、それでも結局負けないのは流石の一言。すでに対TOP10は5戦全勝。昨シーズン1年間で対TOP10で5勝以上はたったの9名、10勝以上は0名、と言えばその異常さが伝わるでしょうか。
2位は自身3度目のGS決勝進出を果たしたティエム。現役ではBIG4、ワウリンカにつぐ大記録となりました。
ティエムは3度目のGS決勝進出。
— wady (@wady_wady_wady) January 31, 2020
現役ではBIG4、ワウリンカに次ぐ大記録。
31 フェデラー
27 ナダル
26 ジョコビッチ
11 マレー
4 ワウリンカ
3 チリッチ、ティエム
2 デルポトロ、アンダーソン
1 ツォンガ、錦織、ラオニッチ、メドベーデフ
20代はティエム、ラオ、メドベの3人だけか…
ティエムと言えばクレーコートのイメージが当然強いですが、クレーキング・ナダルが君臨していることを考えると、実はハードコートの方が優勝のチャンスはあるかもしれない、と思い始めてきました…。
3位には全豪4強の2名、フェデラーとA.ズベレフが並びました。何度も窮地に立たされながら勝ち上がったフェデラーと、酷い状態だったATPカップから一転して全豪では素晴らしいテニスを見せたサーシャ。特にサーシャは逆GS男の不名誉な印象を払拭した大会として、キャリアのターニングポイントになるかもしれません。今年のGSのサーシャには注目したいと思います。
前哨戦のMVP、ルブレフは5位にランクイン。ジョコビッチに次ぐ11勝を挙げました。今シーズン、TOP10、いやさらにその上を目指すためには、マスターズ以上で好成績を残すことが必須です。これまでGS、マスターズ共にQF1回が自身最高成績ですが、その壁を破ることができるか。大きな大会にピークを合わせることも鍵になるかもしれません。
6位ナダル、7位ワウリンカ、8位メドベーデフと実力者がずらり。全豪4回戦のワウリンカvsメドベーデフは興奮する素晴らしい試合でした。
9位はATPカップで奮闘したバウティスタ・アグー。ATPカップの6勝で295ptを多いと思うか少ないと思うか。TOP100圏外に4勝+キリオス・ラヨビッチに勝利して295pt。250に優勝したと思えば、こんなもんかなという気もしますが…。
17位にはオークランドでツアー初優勝を果たしたアンベール。そう言えば、一昨年の全米オープンシーズン振り返り記事で、当時チャレンジャーで無双していた彼に触れたなあと。2019は一年間ツアーレベルで戦い抜き、SF3回、ウィンブルドン16強。今年はマスターズにも活躍の場を広げることでしょう。楽しみな若手の一人です。
29位タイには西岡がランクイン。ここ数ヶ月の試合結果を見ると、いつTOP30くらいまで上がってきてもおかしくない成績です。事実、Elo Rankingでは36位まで上昇してきています。(Elo Rankingの詳細はhttps://www.ultimatetennisstatistics.com/を参照。)
全豪シーズン前後でのランク・ポイント上昇まとめ
2020全豪シーズン ランク上昇・ポイント上昇TOP30
※全豪シーズン後200位以内の選手を対象とした。
気になる選手を何名かピックアップしていきます。
123位→101位とTOP100目前まで駆け上がったRuusuvuoriは昨年の記事でも触れましたがフィンランド期待の20歳。今年も早速チャレンジャーで準優勝を果たしました。今年はとにかくツアーレベルで勝てるかどうかに注目ですね。
杉田は103位→86位とTOP100に復帰。約1年4ヶ月ぶりのTOP100復帰となりました。西岡、杉田、ダニエルと、錦織不在の中でも日本勢の話題に事欠かないというのは幸せですね。ただ、そろそろ錦織さんも見たい。。。
オーストリアのノバク、南アフリカのハリスといった国を代表するトップ選手に次ぐ2番手の2人が揃ってキャリアハイを更新。ATPカップのレギュレーション上、トップ選手に次ぐ2番手選手にはチャンスが増えると思うんですよね。ATPカップの勢力図にも大きな影響が及ぶので、彼らの動向にも注目していきたいと思います。