【プレビュー】2018Week40(東京、北京)

だいぶお久しぶりのWeekly Previewです。みなさんお待ちかね、日本で唯一開催されるATPツアーの楽天オープンの季節がやってきました。

今年は有明コロシアムではなく、武蔵野の森総合スポーツプラザでの開催となります。完全インドア、同一空間に2コートなどやや特殊な環境がどのように作用するかも楽しみなポイントです。

東京(日本、500、Hard)

日本で唯一開催されるATPツアー。2012年のマレーを最後にBig4が出場しておらず、同週に開催される賞金額が倍近い北京と比較して色々言われたりしていますが、私は毎年良い大会が開催されていると思っています。もちろん改善点はありますが、TOP10クラスや若手有望株、地元日本勢などがしのぎを削り、好試合を続けて来ました。現役選手で複数回優勝は錦織ただ一人、合計11名もの現役優勝経験者がいるという珍しい結果にも、その積み重ねが現れていると思います。

目下、現役の優勝経験者はフェデラー、フェレール、ベルディヒ、ツォンガ、ナダル、マレー、錦織、デルポトロ、ワウリンカ、キリオス、ゴファン、と錚々たるメンバーが名を連ねています。今年は錦織、ワウリンカ、キリオスが出場しますが、彼らが優勝回数を積み重ねることができるか、それともチリッチ、アンダーソン、ラオニッチなど実力者がその名を刻むのか、はたまたシャポバロフ、チョン、チチパス、デミノーなどニュースターが躍進する大会となるのか、日本開催というところを差し引いても十分楽しみな大会です。

ちなみに、私は金曜のみ現地観戦予定なので、QFがどのような組み合わせになるかということが非常に気になっています…。とりあえず、錦織とシュワルツマンとキリオスは絶対見たい。チリッチ、ラオニッチ、アンダーソン、ワウリンカももちろん見たいし、チチパス、デミノー、シャポ、チョンも楽しみ。ガスケやマナリノも見たいし、錦織以外の日本勢も当然見たい。なので、全員QFに勝ち上がってくれればいいなー、と思います。(←ワクワクしすぎて頭おかしくなった)

■チリッチ山

※Ranking,Race Rankingは9/24付。(今年の深圳、成都などは対象外)

ここ最近は毎年上位進出しているので、優勝どころか決勝進出も無いということが意外なくらいの[1]チリッチ。今年抜群の安定感を見せているチリッチは当然優勝候補の筆頭となってくるでしょう。錦織のライバルということや日本のバラエティ番組に出演してくれたことなどもあり、日本勢を除くとトップクラスの人気を誇るチリッチですが、初戦の相手シュトルフはマクラクランのダブルスペアということもあり多くの歓声が飛びそうです。日本のテニスファン的には注目のマッチアップの一つでしょう。

3年前のチャンピオンワウリンカはノーシードからの登場となりました。復帰途上ではありますが、トロント、シンシナティあたりからはだいぶ彼らしいプレーが戻って来ました。トロント以降で敗れた相手はナダル、フェデラー、ラオニッチ、クリザン。その間にTOP30の選手だけでもキリオス、シュワルツマン、錦織、ディミトロフ、ハチャノフ、ジュメールを破っており、全盛期並とは言わないまでも、TOP10に近いくらいの力は戻っていると見てよいでしょう。

昨年のNextGen Finalsでも激突した[7]チョンvsシャポバロフ1回戦屈指の好カード。NextGen Finalsの時にはチョンの鉄壁の守備を強打だけでコンスタントに破るのは厳しいかな、と思いましたが、この年代はちょっとしたきっかけでガラッとプレーが変わりますので、あの時とはまた違う試合になると面白いな、と期待しています。

それにしても、チョン、シャポバロフ、ワウリンカ、フリッツの中で1名しかQFに進出できない、ってすごいドローですよね。

SF進出予想は、本命:チリッチ、対抗:ワウリンカシャポバロフチョンです。本命と対抗の差は、安定感とドローです。R16までで消耗する/敗退する可能性が流石にチリッチの方が低いでしょう。一方で、対抗の3名も調子が良ければ十分チリッチを倒すことは可能な実力がああります。

■シュワルツマン山

※Ranking,Race Rankingは9/24付。(今年の深圳、成都などは対象外)

昨年は500の大会で自身初となるSF進出を果たした[4]シュワルツマン。元々気になっていた選手ではありましたが、昨年のジョンソン戦、ゴファン戦を生で観て大好きになりました。近くが予選勝者と昨年快勝したジョンソンだったので、QFは堅いかと思っていましたが、よりによって[Q]メドベーデフを初戦で、2回戦で当たる可能性がある枠は[Q]クリザンと、予選勝者の中では最悪の組合せとなりました。ちなみにここの4名もシュワルツマン以外は約1ヶ月以内に決勝進出(メドベーデフは優勝)しているメンツ。さすがは500、楽しみな対戦が続きます。

逆サイドは本調子であれば[6]ラオニッチが大本命でしょう。彼も度重なる怪我に悩まされていますが、元気なプレーを見たいものです。2012〜2014は3年連続準優勝であり、何としても優勝したいと思っている選手の一人でしょう。

ラオニッチの初戦の相手は昨年準優勝マナリノ。昨年はSFでチリッチを破り、堂々の準優勝を果たしました。今シーズンは不振に喘いでいますが、好成績を残したこの地で何かを思い出せるでしょうか。

[Q]綿貫はワシントンに続き自身2度目のツアー本戦です。500の予選を立て続けに突破する、というのはいよいよ彼も実力が付けてきた証拠でしょう。マグレでできることではありません。初戦の相手はトリッキーなハーセ。ただ、ハーセはデ杯のシャポバロフとの死闘で膝を痛め、第4ラバー・ラオニッチとのエース対決に出場できませんでした。どのような状態なのかは気になるところです。

SF進出予想は、本命:ラオニッチ、対抗:シュワルツマンメドベーデフ、穴:マナリノクリザンです。個人的にはラオニッチvsシュワルツマンのQFを見たいです。すいません、完全に個人的感情です。シュワルツマンvsメドベーデフ、開幕戦のラオニッチvsマナリノはかなり楽しみなカードです。

■錦織山

※Ranking,Race Rankingは9/24付。(今年の深圳、成都などは対象外)

我らが[3]錦織が楽天オープンに帰ってきました。昨年は怪我の影響で欠場、一昨年は怪我でR16途中棄権でした。今年は元気に最後までプレーしてほしいというのが一番の願いです。ウィンブルドンや全米などでは内容も結果も伴ったプレーを見せてくれましたが、一方でトロント・ハーセ戦、メス・バッキンガー戦などイマイチな敗戦も散見されます。大歓声を受け、良い時の錦織が出てくれるでしょうか。

その錦織の1回戦の相手は[WC]杉田。日本のテニスファンが頭を抱えたことでしょう。よりによってスランプに喘ぐ杉田が相手かと…。錦織相手ならサーブ合戦とはならないでしょうから、ラリーの中で少しでも自身を取り戻して欲しいです。

この山にはもう一人日本勢が、今シーズン覚醒した[WC]ダニエルです。昨年の杉田同様、ツアー初優勝→デ杯で活躍→楽天オープンに凱旋となります。覚醒の一番の要因は、攻めるタイミングと精度が上がったことです。初戦の相手は強敵の[5]チチパスですが、しっかりと自分のテニスを貫いて欲しいです。そのチチパスはに本好きとしても知られる選手で、華がある次世代スター候補。同じくスター候補のデミノーと共に、良いプレーをたくさんして日本でも多くのファンを獲得して欲しいですね。そうすることで、毎年楽天オープンに来てくれる好循環が生まれると思うんです。

SF進出予想は、本命:錦織、対抗:チチパスデミノー、穴:ペールダニエルです。日本勢に活躍して欲しい気持ちはもちろんありますが、チチパスvsデミノーの若手対決も見てみたいです。実現すればツアーレベルでは初(チャレンジャーの予選・本戦で1試合ずつ、ツアー予選で1試合戦っており、チチパスの2勝1敗)となります。

■アンダーソン山

※Ranking,Race Rankingは9/24付。(今年の深圳、成都などは対象外)

[2]アンダーソンは意外や意外、5度の楽天オープン参戦にも関わらず、2勝しかできていません。まあ昨年はともかく、一昨年までのアンダーソンとは別人と言っても過言ではないでしょうが。序盤はこのエントリーリストの中ではマシなドローと言えるでしょう。ガスケ/キリオスとの対戦が予想されるQFまではしっかり勝ち上がりたいところです。

深圳で見事ツアー初優勝を果たし凱旋試合となる[WC]西岡は強敵キリオスとの初戦です。流石に予選から7試合戦い抜いた後で日本まで移動してキリオスに勝て、というのは厳しすぎる注文でしょうが、やはり期待してしまいます。本当に気持ちの強いファイターですから、出せる力全てを振り絞って戦ってくれる事でしょう。一方のキリオスは怪我に苦しめられたシーズンですが、2年前に優勝を果たした楽天オープンを復調の足がかりとしたい気持ちは強いでしょう。

[8]ガスケもまだまだ老け込む歳ではありません。一時は38位まで落としたランキングも25位まで戻して来ました。フランスを支えて来たベテランの意地に期待です。

SF進出予想は、本命:アンダーソン、対抗:キリオスガスケ、穴:西岡ティアフォーです。個人的にはキリオス押しですが、SFで錦織アンダーソンが見たい気持ちの方が今大会は優っています…

■全体

優勝争いは上位シードと決勝進出経験者のチリッチアンダーソン錦織ラオニッチワウリンカキリオスなどに加え、成長著しい若手陣のチチパスチョンシャポバロフデミノーなど群雄割拠。優勝者の予想が難しいというのは、面白い大会になりそうな証拠でしょう。

また、DAの錦織、WCのダニエル杉田西岡、予選勝者の綿貫と5名も本戦入りしている日本勢の活躍にも期待です。正直、私は開催国枠でWCを全然ランクが足りていない選手に出すのがあまり好きではないのですが、今年の楽天オープンに関しては今年優勝しているダニエル・西岡に昨年QFの杉田と十分DAの選手たちと渡り合えるレベルの選手が選ばれました。もちろん、錦織以外にもDA出来る選手が増えるのが最高なのですが、本当に日本男子テニスのレベルが上がったことを実感します。日本旋風が巻き起こる中、実は現役優勝経験者の中で優勝から最も遠ざかっている大エース錦織圭さん、次はあなたの番だと思います。

北京(中国、500、Hard)

※Ranking,Race Rankingは9/24付。(今年の深圳、成都などは対象外)

申し訳ないですが、はしゃいで楽天オープンに時間かけすぎたので、こちらは簡潔に。

直近9年間で8回Big4が優勝している大会ですが、今大会はBig4の出場は無し。代わって優勝争いの軸になるのは、[1]デルポトロ[2]A.ズベレフの2人でしょう。デルポトロは全米オープンの疲労からどれだけ回復しているか、A.ズベレフは若干調子を落とし気味な印象もありますが、どれだけ復調しているか、が鍵となるでしょう。

彼らに挑む一番手はやはり[3]ディミトロフでしょう。今年はタフドローに苦しめられたこともあり、満足できない成績のシーズンとなっていますが、今大会の想定勝ち上がりはハリソン→ポスピシル/ラヨビッチ→エドムンドと、やや易しいくらいのドローとなっています。何としても上位進出したい状況でしょう。

その他では、成都で準優勝の[4]フォニーニ、今シーズン度々旋風を巻き起こしている[7]チョリッチあたりも優勝のチャンスがあると予想します。

1回戦、特に注目しているカードは、ハチャノフvsクエリーベルダスコvsモンフィスアグーvsA.ズベレフです。

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