【プレビュー】2019Week3,4(全豪オープン)

2019年が始まって2週足らずですが、テニス界では様々なニュースが飛び交っています。錦織の約3年ぶりの優勝、ツォンガの復活、ベルディヒ・カルロビッチ・セッピといったベテラン達の久しぶりの決勝進出、サングレンの初優勝、デミノーの10代での優勝。そして何と言ってもアンディ・マレーの引退…。わずか2週間足らずとは思えないほど多くのニュースが駆け巡り、いよいよ2019年最初のビッグイベント、全豪オープンが始まります。

全豪オープン(オーストラリア、Gland Slam、Hard)

画像出典:https://www.atptour.com/en/tournaments/australian-open/580/overview

全豪オープンといえば、過去10年間の決勝進出者述べ20回中18回がBIG4(残る2回は2014優勝のワウリンカと2018準優勝のチリッチ)ということで、16年連続BIG4が優勝しているウィンブルドンよりも決勝進出者という意味では支配度合いが強い大会となっています。

衝撃のニュースとなったマレーだけでなく、ナダルも前哨戦欠場するなど必ずしも上位陣が万全な状況の選手ばかりでは無い中で、BIG4がその支配力を改めて見せつけるのか、ニューチャンピオンが誕生するのか、例年以上に予想が難しい大会になっているのでは無いかと思います。

▪️ジョコビッチ山
【表1】ジョコビッチ山

※Rankingは1/7付(シドニー、オークランドなどは未反映)。

2018年前半戦は怪我の影響等もあり不甲斐ない試合が続いていましたが、芝シーズン以降の後半戦はわずか4敗しかせずウィンブルドン、シンシナティ、全米OP、上海とビッグタイトルを獲り続けた[1]ジョコビッチ。過去6度優勝を誇るNo.1が優勝候補筆頭であることに異論は無いでしょう。今大会も不安が無いわけではありません。前哨戦のドーハではバウティスタ・アグーに敗北を喫しました。また、決して優しく無いドローです。しかし、大きな大会ほど強さを見せつけるのがBIG4のBIG4たる所以でもあります。強敵達をどのように蹴散らしていくのか、楽しみです。

そのジョコビッチと2回戦で当たる可能性があるのが[WC]ツォンガです。膝の怪我の影響で2018シーズンはあまり試合に出場することすらできませんでしたが、今シーズンはいきなりブリスベンでSFまで進出し、完全復活を印象付けました。実力者だけに、ジョコビッチとしても不気味な相手でしょう。

現在、最も勢いに乗っている若手の一人と言って差し支えないでしょう、[15]メドベーデフ。錦織との2度の決勝の印象がどうしても強いですが、昨年終盤から本当に粘り強いテニスができるようになりました。シード順通りに勝ち進むと3Rからゴファン→ジョコビッチと強敵が続きますが、この大舞台でどのようなプレーを見せることができるか、かなりの注目を集めているのでは無いかと思います。

反対側のトップシードは[8]錦織。ブリスベンで約3年ぶりの優勝を果たし、過去最大級に期待値が高まっています。決勝戦の連敗が止まった今、次に止めるべきは対ジョコビッチ戦の14連敗でしょう。4Rまではシード勢も比較的相性の良さそうな相手が多く、しっかり勝ちきってジョコビッチ戦が想定されるQFでトップコンディションを作りたいところです。

その他注目選手では、約1年半ぶりとなる決勝進出を前哨戦のプネーで達成した39歳の大ベテラン、カルロビッチあたりでしょうか。また、1回戦では[WC]ツォンガvsクリザンダニエルvs[Q]コキナキスあたりに注目したいです。

▪️A.ズベレフ山
【表2】A.ズベレフ山

※Rankingは1/7付(シドニー、オークランドなどは未反映)。

マスターズでは優勝3回、準優勝2回という驚異的な実績を誇るにも関わらず、グランドスラムではQF進出が1回だけと脆さを見せている[4]A.ズベレフ。昨年のATPファイナルズでジョコビッチを決勝で破り見事に優勝したことで、何かを掴んでいるでしょうか。実力派当然申し分ないだけに、何かちょっとしたきっかけで一気に頂点まで駆け上がるのではないか、と個人的には思っています。

そして、このブロックは何と言ってもここでしょう。ラオニッチの周りが大変なことになりました。[16]ラオニッチの初戦の相手は地元オーストラリアの怪童キリオス、2回戦の相手は2014全豪オープン覇者で全豪が大得意なワウリンカvs復活した元TOP10グルビスの勝者。とんでもなく豪華なメンバーが集まりました。対抗シードの昨年SF進出した[24]チョンも含めると8名中3名がSF進出経験者ということで、最激戦区を誰が勝ち上がるのかは大会序盤の見所でしょう。

昨シーズンは上海準優勝など大きな爪痕を残した[11]チョリッチは大きな大会の結果次第ではTOP10が見える位置までやってきました。GSではなかなか結果が残せていませんでしたが、昨年の全米でGS初の16強進出。今年はGSで大きな結果を残すことができるかが鍵となるでしょう。

[7]ティエムvsペールは1回戦屈指の好カードです。ティエムは前哨戦で良い所なく初戦敗退したとはいえ、全豪オープン自体は2年連続16強と相性が悪くない大会です。トリッキーなペールとの試合は楽しみです。

▪️フェデラー山
【表3】フェデラー山

※Rankingは1/7付(シドニー、オークランドなどは未反映)。

目下、全豪オープン2連覇中、ジョコビッチと並ぶ6度の優勝を誇る[3]フェデラーはもちろん優勝候補筆頭の一人でしょう。優勝回数もさることながら、過去15年間で2015を除く14回SFに進出している、というのは本当にとんでもない記録です。

そのフェデラーの初戦の相手は2017の全豪オープンでジョコビッチを破る大番狂わせを起こしたイストミンです。ビッグカード、という対戦相手ではありませんが、あのジャイアントキリングが頭を過ぎるテニスファンは多いのではないでしょうか。

昨年の準優勝者[6]チリッチもフェデラー山に入りました。過去16強3回、全豪を得意とする地元オーストラリアのトミッチとの1回戦は注目の好カードです。

そして、彼に言及しないわけにはいきません。過去全豪オープン準優勝5回、あと一歩で幾度となく涙を飲んできたレジェンド、[PR]マレーです。2016シーズン後半は完全にツアーを支配し、悲願の年間1位を獲得しましたが、その代償はあまりにも大きなものとなりました。「本来はウィンブルドンまでプレーしたいが、それができるかもわからない状況」ということで、正直な所どれだけのプレーができるか、もっと言うとどこまでプレーを続けられるかも不透明な状況ですが、彼の残り少ない勇姿を我々テニスファンは目に焼き付ける必要があるでしょう。

[10]ハチャノフ[14]チチパスと活きの良い若手もこのブロックに入りました。現在、ランキング10位台にはチョリッチ、メドベーデフなども含めて若手がひしめいていますが、この中で誰がA.ズベレフに続いてTOP10に入ることができるのか、今シーズンの大きなトピックになると思っています。比較的MSまでの方が結果を残せている選手がこの層に多く、今シーズンはGSの成績が鍵になるのではないでしょうか。

▪️ナダル山
【表4】ナダル山

※Rankingは1/7付(シドニー、オークランドなどは未反映)。

前哨戦を欠場し、ぶっつけ本番となった[2]ナダル。大事をとっての欠場、ということであれば良いのですが、どのような状態なのかは試合が始まってみないと分からなさそうです。本調子に近ければ優勝戦線の中心に浮上してくるでしょうが、流石にそこまでの状態を求めるのは酷でしょうか。

昨シーズン、自身最高のシーズンを過ごした[5]アンダーソンは今シーズンもプネー優勝で最高のスタートを切りました。その昨シーズンも全豪オープンでは初戦敗退とあまり結果が出ていない大会ではありますが、順当に行くとイズナーorディミトロフと激突する4Rを突破し、自身最高の成績まで到達したいです。ここで好成績を残せれば、キャリアハイ更新の4位も見えてきます。

[20]ディミトロフは昨年は不甲斐ないシーズンとなってしまいましたが、過去SF1回QF2回と得意にしている全豪オープンで結果を残して悪い流れを断ち切れるでしょうか。ブリスベンでの錦織戦では素晴らしいプレーを見せていました。あのプレーをコンスタントにできれば、上位進出も見えてくるでしょう。

シドニーで見事10代でのツアー初優勝を果たした[27]デミノーには地元オーストラリアの期待がかかります。プレースタイル的にもかなり疲労は溜まっているでしょうが、それを跳ね返す若さとタフさに期待です。地元期待の若手選手が勝ち進めば、大会の盛り上がりも増すことでしょう。

こちらも前哨戦で結果を残したベテラン、ベルディヒ。過去6年連続QF以上という成績を残すなど、得意な大会の一つです。33歳とはいえ、未だ武器のフォアは健在。1回戦の[13]エドムンドとの好カードは楽しみです。

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