【シーズンレビュー】2018全米OPシーズン振返り(Week29〜36)

若干期を逸した感があるなー、と思っていましたが、せっかく準備したので全米OPシーズンの結果まとめをしたいと思います。

ちなみに、全米OPシーズンというのは造語ですので、一般的な呼び方ではありません。一年間をサーフェスや節目となる重要な大会でシーズン分けすると、大まかに以下の6シーズンになるかなと思っています。比較的サーフェスや開催地が近いことが多いせいか、この単位で調子の浮き沈みが起こりやすい印象を持っています。

・全豪シーズン:シーズン開幕〜全豪OP

・サンシャインシーズン:全豪OP後〜マイアミMS

・クレーシーズン:マイアミMS後〜全仏OP

・芝シーズン:全仏OP後〜ウィンブルドン

・全米OPシーズン:ウィンブルドン後〜全米OP

・アジア・欧州シーズン:全米OP後〜パリMS

今回はそのうち全米OPシーズン、Week29〜36の振り返り記事となります。

2018全米OPシーズンの結果まとめ

画像出典:https://www.atpworldtour.com/en/photos/us-open-2018

2018全米OPシーズン上位進出者まとめ
2018全米OPシーズン獲得ポイントTOP30

全米OPシーズン、と言うと全米OPやカナダMS、シンシナティMSといった北米開催のハードコートというイメージが強いですが、実際は序盤数週間はクレーや芝の大会も開催されています。

バラエティ豊かな16大会で、複数大会優勝したのはジョコビッチフォニーニのみ、14人の優勝者が生まれました。

この期間の獲得ポイント1位はもはや全盛期再びという強さを見せているジョコビッチです。芝シーズンに続き、2シーズン続けての1位獲得です。全米OP、シンシナティMSで優勝し、堂々ダントツの1位に輝きました。芝シーズンはやや危なげもありながらでしたが、いよいよ憎らしいほど強い(褒め言葉)ジョコビッチが帰ってきたという印象です。年末にかけては彼が最も得意とするインドアハードのシーズンとなります。正直、目下止められる選手が思いつかないです。

2位はカナダ(トロント)MSを制したナダル。怪我を抱えながらの出場となってはいますが、それでも出場すれば上位進出するあたりは流石の一言です。これ以上怪我が悪化しないか、ということは非常に心配ではありますが、大会を減らしてうまくコントロールしながら出場し続けて欲しいです。

3位は全米OP準優勝のデルポトロ。やはりハードコートでは強いですね。平均以上の調子のBig4相手に常に引けを取らないテニスが出来ているのは、やはりデルポトロくらいでしょう。ランキングではフェデラーの背中が見えてきて、キャリアハイの2位到達なるか、と見られていた時期もありましたが、ジョコビッチが怒涛の勢いで加点して抜き去っていったので、しばらくは厳しそうです。ただ、全豪OP優勝が失効するフェデラーを来年前半までに抜き去り、ナダルと近いポジションにいることができれば、クレーシーズン中に2位も見えてくるかもしれません。

4位はチリッチ。マスターズ×2と全米OPの大きな3大会すべてでQF以上まで進出しました。この厳しい日程の中で、3大会ともQF以上まで進出したのはチリッチただ一人です。そして敗れた試合もナダル、ジョコビッチ、錦織相手にすべてフルセットまでもつれ込む死闘と言うことで、元々得意なシーズンではありますが、最近の充実ぶりが伺える結果となりました。

5位はそのチリッチを全米OPのQFで下した錦織。今シーズンは印象的な勝利が多いですが、その中でも全米OPのチリッチ戦は間違いなくハイライトの一つとなる試合でしょう。マスターズ2大会では結果が残せませんでしたが、全米で一気にチャラにしました。一時は絶望的と見られていたツアーファイナルズ出場も少しずつ可能性が出てきて、本当にシーズン序盤は怪我で離脱していた選手なのかと、チャレンジャー1回戦敗退していた選手なのかと、「フォア打つな」とファンに絶叫されていた選手なのかと、不思議な気持ちになります。

6位はチチパス。おそらく印象度的には1位のジョコビッチと互角くらいの衝撃を与えたのではないでしょうか。何と言ってもカナダ(トロント)MSのティエム、ジョコビッチ、サーシャ、アンダーソンのTOP10プレイヤー4枚抜きは衝撃的でした。今回もTOP10常連の選手たちの間に割って入る形でのランクインです。ただ、これで彼らも徹底マークしてくるようになるでしょうから、次以降の対戦で真価を問われることになるでしょう。本当にこれからが楽しみな選手です。

7位は前半戦を席巻したフェデラーA.ズベレフが揃ってランクイン。二人ともややお疲れ気味ですが、それでもフェデラーはシンシナティMS準優勝、サーシャはワシントン優勝でこの位置を確保しているあたりはさすが実力者です。

9位にはイズナー。初のツアーファイナルズ出場を目指し、奮闘を続けています。得意のアトランタで優勝、全米OPでもデルポトロに敗れはしたものの堂々のQF。昨年までグランドスラム38回出場してわずか1回しかQFまで勝ち進めなかった男が、今年だけでSF1回、QF1回です。本当に最高の1年となっています。

10位にはハンブルグを制したバシラシビリがランクインしました。アジアシーズンでも北京で優勝しており、1コケも多く安定感に欠ける面は否めないという側面はありますが、この爆発力は上位陣にとっても脅威でしょう。絶対アーリーラウンドで当たりたくない選手の1人でしょう。

11位は苦しい1年となったゴファン。怪我や不運に泣かされたシーズンとなりましたが、シンシナティではアンダーソン、デルポトロを破ってのSF進出と意地を見せてくれました。深圳で一足先にシーズンを終了しています。来シーズンはツアーファイナルズのポイントも失効し、シード順も下がっての戦いとなりますが、ゆっくり身体を回復させて反撃に期待したいです。

12位には最高のシーズンを過ごしているアンダーソン。昨年の全米OP準優勝の再現とはなりませんでしたが、ウィンブルドンであれだけの死闘を繰り返して体力的にも精神的にも燃え尽きてもおかしくない所でしっかりと踏ん張りました。自身2度目のマスターズSFも果たし、すっかりTOP10常連組の風格も漂わせ始めています。

13位にはジョコビッチを除くと唯一この期間で2大会優勝を果たしたフォニーニ。しかもクレーのBastadとハードのロスカボスと異なるコートで1週挟んで優勝という、珍しい勝ち方をしました。特にロスカボス決勝ではデルポトロを破り、全米OP後には4年ぶりにキャリアハイタイとなる13位までランキングを上げるなど、充実のプレーを見せています。

1996年生まれの22歳ロシア人コンビ、ハチャノフメドベーデフが14位と15位にランクイン。2人ともメキメキ力を付けて来ています。前年のNextGen Finals組が躍動すると、後輩のNextGenたちにも勇気が湧いてくるのではないでしょうか。

20位にはついに爆発したデミノー。年始のブリスベンSF、シドニーFで一躍注目を集め、躍進は時間の問題と見られていましたが、正直想像より遥かに早く爆発してくれました。若い世代には珍しく、冷静でクレバーな印象があるので、こういう個性のある選手はより応援したくなります。

24位には復活したワウリンカ。復帰組の中でもなかなか苦しんでいたワウリンカでしたが、シンシナティではシュワルツマン、錦織、フチョビッチを下しフェデラーとフルセットまで戦うなど、いよいよ復活の兆しが見えて来ました。本格的には来年始の全豪あたりがターゲットなのかなと思いますが、かなり心配していたので個人的にはホッとしました。

全米OPシーズン前後でのランク・ポイント上昇まとめ

2018全米OPシーズン ランク上昇・ポイント上昇TOP30

※全米OPシーズン後200位以内の選手を対象とした。

ランクアップ1位に輝いたのはオーストラリア期待の若手ポピリン。デミノーと同じ1999年生まれの19歳です。オーストラリアはどれだけ若手有望株がいるのでしょうか。済南CHでは予選から勝ち上がって優勝してみせました。この期間の獲得ポイントは58位ということで、かなり期待が膨らみます。まだまだCHレベルかもしれませんが、来シーズンの豪州シリーズあたりで台風の目になるかもしれません。

2位にはフランス期待の若手Humbertがランクイン。こちらは1998年生まれの20歳ですが、期間中にチャレンジャー優勝1回、準優勝3回と勝ちまくり、全米OPでは予選から勝ち上がって本戦で1勝を挙げました。ちなみにツアーレベル初勝利です。全米OP後すぐにTOP100入りも果たしており、そろそろツアーレベルに移る頃かなと思います。ここからがまさに真価が問われる戦いですね。

復活のワウリンカが100ランク以上アップ、こちらも怪我からの復帰組の西岡も79ランクアップでTOP200まで戻って来ました。

ポイントアップの方に目を転じると、ジョコビッチチリッチ錦織デルポトロといったトッププレイヤーに混じってバシラシビリチチパスハチャノフメドベーデフなどこの期間注目を集めた選手達がランクインしています。

タイトルとURLをコピーしました