長いクレーシーズンが終わり、青々とした芝が眩しい芝シーズンが始まりました。今年も全仏オープンではクレーキングがいつも通りの圧倒的な強さを見せつけた一方で、新しい風もチラホラと感じることができたかなと思います。
そんなクレーシーズンをデータで振り返ってみましょう。
2019クレーシーズンの結果まとめ
2019クレーシーズン獲得ポイントTOP30
1位はもちろんこの人、クレーキング・ナダルです。優勝は2大会に止まったものの、ダントツの1位です。わずかに付け入る隙は出てきたようにも見えますが、それにしても全仏オープンだけは全く負ける姿がイメージできません。ティエムがあれだけのプレーをしても、第3、4セットはいずれも6-1。まさに対戦相手に絶望感を与えるプレーぶりでした。
2位にはマドリードを制したジョコビッチがランクイン。全仏オープンではティエムとの激闘に敗れましたが、各大会で安定した成績を残して2位を確保しました。昨年のクレーシーズン前半はスランプの真っ只中にいたのが遠い昔に感じます。
3位は全仏オープンで4年連続SF以上、2年連続決勝進出という快挙を成し遂げたティエムです。もうクレーコートでの強さは見慣れてきましたね。悲願の全仏オープン制覇へ、厚く高い壁にまた来年もリベンジです。
ティエムは全仏4年連続SF以上。
同一GSにおいて、4年連続どころか4回SF以上すらBIG4以外の現役では唯一の大記録。
3回ならワウリンカ(全豪、全仏、全米)、デルポトロ(全米)、ベルディヒ(WB)、錦織(全米)が記録している。— wady (@wady_wady_wady) 2019年6月6日
4位のチチパス、5位のフォニーニはいずれもマスターズの大舞台でナダルに勝つという大仕事をやってのけました。ATPランキングでも、チチパスは6位、フォニーニは10位とキャリアハイを更新する大躍進。次はこれまでの実績的にはあまり得意とは言えない芝シーズンですが、シード順位が上がった中でどのような戦いを見せてくれるのか注目です。
6位は3年ぶりのクレー参戦となったフェデラーです。久しぶりのクレー、そしてわずか3大会の出場ながらこの位置を確保してしまうあたり、さすがはフェデラーです。特に、全仏オープンでの戦いぶりは見事でした。彼が最も輝く芝シーズンでは、ナダル・ジョコビッチにリベンジを果たす姿が見れるでしょうか。
7位のA.ズベレフ、8位の錦織は昨年より大きくポイントを落とす結果となりました。とは言え、プレー内容的にもスッキリしない中で、この位置は最低限確保しているあたりはさすがです。二人ともFinals争いでは当落線上です。今年のFinals争いはかなりの人数を巻き込んだ激戦となりそうです。
9位にはマラケシュ、リヨンの2大会を制したペール。全仏での錦織戦も一つボタンを掛け違えたらひっくり返っていてもおかしくない試合でした。
10位はモンテカルロでマスターズどころかツアー初の決勝進出を果たしたラヨビッチ。得意のクレーコートで見事な結果を残しました。
クレーでも戦えることを示したメドベーデフ、チチパスとの激闘などすっかり完全復活を印象付けたワウリンカ、ローマでは錦織を破りジョコビッチにも肉薄したシュワルツマン、と言った実力者たちに混じってチリの新鋭ガリンが13位にランクインしました。昨年まではチャレンジャーが主戦場だった選手でしたが、2大会で優勝するなど一気に30位台までランキングを駆け上りました。芝でもさっそくQFまで勝ち上がるなど、当分台風の目となりそうです。
クレーシーズン前後でのランク・ポイント上昇まとめ
2019クレーシーズン ランク上昇・ポイント上昇TOP30
※アジア・欧州シーズン後200位以内の選手を対象とした。
昨年このコーナーではムナール、ルード、フルカッチ、ムーテ、デリエンに言及しましたが、見事5人全員がTOP100の壁を打ち破りました。(正確にはムーテは全仏翌週のチャレンジャー優勝でTOP100入り。)
今年のブレイク予報は誰になるでしょうか。「若手(〜20歳前後)」「ツアーレベルでも爪痕を残している(GSならなお良し)」と言ったあたりに注目して見ると、次の2選手が浮かび上がりました。
M.イメール:イメール兄弟の弟。兄のEliasはTOP150入りから約4年、幾度となくTOP100の壁に阻まれ、若干燻っている印象がありますが、その間に弟Mikaelが追いつきました。クレーシーズンではチャレンジャーで準優勝2回、全仏で予選を勝ち上がり本戦で1勝。ランキングだけを考えると、得意なクレーコートのチャレンジャーを回り続けるのが良いように感じますが、全仏翌週からは芝のチャレンジャー大会に初参戦するなど、ツアー定着を見据えたエントリーとなっており、今後に期待です。
ダビドビッチフォキナ:エストリルで予選から勝ち上がり、フリッツ、シャルディー、モンフィスと実力者を次々と破って準決勝まで進出した、スペインの新鋭。クレーシーズンに出てきたスペイン人、ということでクレーコーターの印象が強いが、チャレンジャーではクレーとハードでほぼ同じ成績を残しています。むしろ、フューチャーズでは主にハードコートで結果を残しており、これからのシーズンにも期待が持てます。