【プレビュー】2018Week23(全仏OP2週目)

本当は全仏OP開幕前にプレビュー記事を書きたかったのですが、ドロー〜開幕の間に書く時間が無かったので、キリの良いこのタイミングで書こうと思います。

R16以降のドロー

1〜8シード:7名、9〜16シード:2名、17〜24シード:3名、25〜32シード:1名、ノーシード:3名という勝ち残りとなりました。

1〜8シードがディミトロフ以外全員勝ち上がり、下位シードからもジョコビッチ・錦織といった復帰途上の実力者やフォニーニ・ベルダスコといったクレーコーターが勝ち上がって来たということで、全体的には順当な結果と感じている人が多いのではないでしょうか。

勝ち残り選手の各種データ

※携帯からだと見辛いかもしれません…

トップハーフ

トップハーフは何と言ってもクレーキング[1]ナダルを止めることができるのか?ということが一番の関心事でしょう。今シーズンの敗戦はリタイア負け1回とティエムにマドリードで敗れた計2回だけ、全仏OPでの敗戦も通算でたったの2回。絶対王者にどう対抗していくのか注目です。

ナダル以外の選手を見ていくと、まずは[3]チリッチ[5]デルポトロ[6]アンダーソン[9]イズナーと今シーズン序盤戦で結果を残して来た実力者たちが勝ち上がって来ました。足を止めてハードヒットするタイプが揃っています。

[11]シュワルツマンはツアー屈指のリターン力を誇るアルゼンチン人選手、というコテコテのクレーコーターのような特徴を持ちながら、意外とクレーとハードの成績が変わらない不思議な選手です。ツアーレベル未勝利と大の苦手の芝シーズンに突入する前に、少しでも結果を残しておきたいところでしょう。

クレーコーターの[18]フォニーニは初戦で強敵アンデュハルを一蹴すると、3回戦では[16]エドムンドをフルセットの熱戦の末に下し、勝ち上がって来ました。エドムンド戦でMTO取っていたのが気になりますが、そこから2セット連取しているのでそこまで重症ではないと見て良いのでしょうか。本調子であれば上位陣にとっては非常に怖い存在です。

今大会最大のサプライズの一人、マーテラー。昨シーズン終盤にチャレンジャーで勝ちまくり、ツアーレベル未勝利のままTOP100入りした選手ですが、正念場の今シーズン、見事に結果を残しました。全豪OPではベルダスコを破り3回戦進出、ミュンヘンではシュワルツマンらを破り4強、そして今大会では[24]シャポバロフを破り16強。ランキングも暫定49位というところまで来ました。次の相手は[1]ナダルということで、失うものは何もありません。むしろ、恐れずに向かっていくことで、何が通用して何が通用しないのか勉強するチャンスだと思います。

ボトムハーフ

ボトムハーフは誰が勝ち上がっても不思議ではない、非常に豪華なラインナップとなりました。

まずは何と言ってもレースランキング1位の[2]A.ズベレフ。マスターズ3回優勝、2回準優勝という輝かしい実績を持ちながら、未だグランドスラムではQF進出すらなし。「マスターズ番長」「グランドスラムに弱い」という揶揄を払拭するためには、ここで足を止めるわけにはいきません。2回戦、3回戦と優勝候補であれば正直一蹴して欲しい選手を相手にフルセットまで持ち込まれる展開となりましたが、ここでしっかり勝ちきったことは大きな進歩だとも感じます。

そして今クレーシーズンで唯一ナダルに土をつけた男、[7]ティエム。キャリア203勝のうち106勝をクレーコートで挙げているクレーキングの後継者候補です。先週リヨンで優勝すると、ハードスケジュールを物ともせず、強敵チチパスも含めてしっかり倒して来ました。次の相手は[19]錦織。R16屈指の好カードでしょう。

シーズン序盤に離脱を経験したものの、クレーシーズンで見事に復活を果たした[8]ゴファン[19]錦織[20]ジョコビッチの3人。弱点が比較的少なくオールラウンダーに分類される3人ですが、危なげなく勝ち上がったジョコビッチ、ペールには苦戦したが[WC]ジャンビエール、シモン相手には貫禄を見せつけた錦織、2試合がフルセットと苦しい戦いを強いられたゴファンと勝ち上がりは対照的です。実力者たちが2週目にどれだけ調子を上げて来れるか、注目です。

[30]ベルダスコは得意のクレーコートでここまで大暴れしています。西岡とフルセットのまさに死闘を演じると、[4]ディミトロフを圧倒してストレート勝ち。実はベルダスコがグランドスラムでQFまで勝ち上がったことがないのはここ全仏OPだけ。6度も4回戦の壁に阻まれています。7度目の正直といきたいところですが、次の相手は[20]ジョコビッチ。非常に高い壁となりそうですが、乗り越えることはできるでしょうか。

ハチャノフは、昨シーズンに続き2年連続の16強となりました。今年はマルセイユ優勝以外、目立った成績がありませんでしたが、ここで大仕事ができるか。次は強敵とはいえここまでは本調子ではない[2]A.ズベレフ。相手がモタモタしているようだと、ハチャノフにも大きなチャンスが巡ってくる可能性があります。

チェキナートはマーテラーと並んで今大会最大のサプライズ。LLから優勝したブダペストで何かを掴んだのでしょうか、グランドスラム初勝利から3つ白星を並べてここまで来ました。キリオス棄権という幸運もありましたが、クレーコートが得意な[10]カレーノ・ブスタに勝利したのは見事です。幸運をしっかりとものにできるということも非常に重要な要素だと思います。快進撃はどこまで続くのでしょうか。

全仏OP16強にフランス人がいないということ

3回戦で[27]ガスケエルベール[32]モンフィスシモン[15]プイユと5人が敗退し、フランス人が全滅してしまいました。15人が出場し、あの異様で熱狂的な雰囲気を味方につけることができるにも関わらず、です。16強に一人もフランス人がいないのは2007年以来11年ぶりとなります。奇しくも、2007年も3回戦で5人が敗退していました。なお、その敗退した5人のうち3人が翌2008年に16強以上まで進出しています。

この10年間の間に16強以上まで勝ち上がったフランス人選手をまとめてみました。2008、2015は5人が残るなど、10年間で延べ25人が該当しています。

では、選手別に回数を数えてみましょう。

6回:J.TsongaG.Monfils

5回:R.Gasquet

3回:G.Simon

2回:J.Chardy

1回:J.Benneteau、PH.Mathieu、M.Llodra

そりゃあツォンガモンフィスガスケシモン四銃士と言われ人気が出るわけです。一目瞭然ですね。

しかし、四銃士もツォンガ、シモンが33歳、モンフィス、ガスケが31歳。いつまでも彼らに頼りきりではいけない訳です。四銃士より若いフランス人選手が誰一人全仏OP16強に残ったことがないということは、意外と重い事実かもしれません。

テニス王国フランスに世代交代の時期が迫って来ているのは間違いありません。四銃士の次に全仏OPで躍動するのは誰になるのか?すぐ下の世代のペールマナリノが逆襲するか?さらに若いプイユが覚醒するか?今大会でも煌めきを見せた新星ムテジャンビエールらが躍進するか?はたまた、予想だにしない選手が現れるのか?

来年以降の全仏OPを見る際に、一つ注目して見ると面白いかもしれません。

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