【プレビュー】2018Week31(ワシントン、ロスカボス、キッツビュール)

2週間ほどプレビュー記事をサボりましたが、そろそろ復帰したいと思います。と言っている側から、時間の都合上ワシントンのみの記事アップとなります。逆にいうと、ワシントンはどうしても書かないといけない、と思うくらい注目すべき大会でもあるということです。

Week31はカナダMS→シンシナティMS→全米オープンと続く北米ハードシリーズの前哨戦としての位置付けが強いワシントン、ロスカボスと、ツアーレベルでは年内最後のクレー大会であるキッツビュールの3大会が開催されます。

ワシントン(アメリカ、ATP500、Hard)

非常に長い歴史があり、かつてはマイケル・チャンが2連覇したこともある大会です。現役選手では唯一複数回優勝しているデルポトロ(2008、2009、2013優勝)は今年はロスカボスを選択し不在です。昨年はA.ズベレフが500のカテゴリーでは初優勝を果たしましたが、今年はどのような大会となるのでしょうか?

日本人としては、錦織圭杉田祐一に加えて20歳の綿貫陽介ATPツアーデビューとなります。ツアーレベルでは予選も未勝利でしたが、今大会では見事に予選を勝ち抜き本戦出場を決めました。今年はCHの大会で着実に結果を残し始めています。期待の新星という印象も強いですが、1998年生まれというと、チチパス、ティアフォーあたりが同級生です。そう考えると、そろそろ少しずつツアーレベルに進出して欲しい気持ちも出てきます。今回がそのきっかけを掴む大会になってくれると嬉しいですね。

詳しいドローはこちらをご覧下さい。→Washington draw

■A.ズベレフ山

ディフェンディング・チャンピオンの[1]A.ズベレフは、クレーシーズンでは素晴らしい活躍を見せましたが、芝シーズンは少しお疲れといった成績でした。昨年優勝したこの大会から、全米オープンに向けて調子を上げていくことができるか、結果というよりも内容が問われる大会になるのではないでしょうか。そんなA.ズベレフの対抗シードはお兄さんの[15]M.ズベレフ。ツアー本戦での対戦が実現すれば初対決となりますが、果たして実現するでしょうか。

2015年の覇者[7]錦織はNAF争いのライバル、イズナーが前週のアトランタで優勝しており、少しでもポイントを稼ぎたいところ、と言いたいところではありますが、以前の記事にも書いたようにマスターズ以上の大きなカテゴリーで好成績を残すことが必須となっている現状では、ワシントンで死力を尽くすわけにはいきません。来週のカナダMS以降にいい状態で臨むことが何よりも大切、その上で結果も残せればもちろん良い、ということになります。

そんな錦織の初戦の相手は[WC]ワウリンカ[Q]ヤングの勝者です。なかなかキャラの濃いブロックとなりました。ワウリンカはイーストボーンのマレー戦を見る限りではまだまだ時間がかかりそうでしたが、ウィンブルドンではディミトロフを破るなど、一歩一歩進んではいるように感じます。個人的にはまだもう少し時間がかかりそうな気がしていますが、これだけの実力者ですから、いきなり大きな結果を残す可能性も否定できません。一方のヤングも200位台までランキングを落としてしまいましたが、予選から勝ち上がってきました。まだ老け込むには早いはずです。ウィンブルドンのグルビスに続き、「Young Guns」復活を期待してしまいます。

ツアー本戦デビューとなる[Q]綿貫の初戦は[WC]メドベデフ。2年近くTOP100を守り続けている実力者が相手で、厳しい戦いが予想されますが、恐れずしっかりとぶつかって欲しいですね。この勝者を待ち受けるのは[9]シャポバロフ。昨年の今頃はまだ3桁ランクでチャレンジャーに参戦していました。カナダMS SF→全米オープンR16と大ブレークする前夜のことです。1年間で20位台までランクを上げた若武者が地元カナダへの凱旋に向けて調子を上げていけるでしょうか。

■ゴファン山

今シーズンはなかなか大きな結果が出ておらず、レースランキングでは20位台に沈んでいる[3]ゴファンは2013年以来5年ぶりのワシントン参戦です。全米オープン後は、東京W、深圳W、バーゼルSFなど大型失効が続き、そのとどめがツアーファイナルズFです。元々、大当たりするというよりは安定感があるタイプですし、上位シードを確保できている間に少しでも多くのポイントを確保しておきたいところでしょう。

デルレイビーチではツアー初優勝、ニューヨークはQFと、今シーズンは地元アメリカで結果を残している[13]ティアフォーはここワシントンでも結果を残すことができるでしょうか。初戦で当たる可能性のあるイバシュカハルカッチはいずれも今年230位台から120位前後までジャンプアップしてきた選手です。個人的にハルカッチはポズナンCH決勝でダニエル太郎を破った試合で覚えました。今シーズン勢いのありそうなメンバーが揃い、個人的には少し注目しているブロックです。

クレーコートで輝いた[10]チチパスはウィンブルドンR16など、芝コートでも存在感を見せつけました。残すは目下最も勝率が悪くなってしまったハードですが、ブレークのタイミングが影響しただけで問題はないでしょう。そんなチチパスと初戦で当たる可能性があるドナルドソンにとっては、対戦が実現すればウィンブルドンのリベンジマッチとなります。過去2度の対戦はいずれもフルセットまでもつれ込んでおり、好勝負に期待です。

前週のアトランタでは敗色濃厚の展開から棄権をして観客からブーイングを食らった[5]キリオス。公式には臀部の痛みによる棄権と発表されていますが、状況はどうなのでしょうか。それまではプレーできていたので、そこまで深刻ではないと思いますが、それはそれで非難を浴びる原因となってしまいそうでもあるのでモヤモヤします…

■エドムンド山

今シーズンは全豪オープンSFと大仕事をやってのけ、依然レースランキング13位につける[4]エドムンドですが、初戦は復帰3大会目となるマレーとの対戦となる可能性があります。マレーが直近で出場したイーストボーンではR16で対戦してエドムンドが勝利しましたが、今回はどうなるか。特にマレーの状態に要注目です。マレーの状態が思わしくないようだと、ウィンブルドンR16でキャリアハイを大きく更新して勢いに乗るマクドナルドにもチャンスが巡って来るでしょう。

[8]チョンはアトランタに続き、復帰2戦目です。アトランタではハリソンにフルセットの末敗れましたが、復帰初戦にしては動けていたのではないかと思います。1試合でも多く戦い、離脱前の良い状態に近づけて欲しいです。

それぞれの対抗シードはスヘルトーヘンボスF、クイーンズSFの[14]シャルディーとニューポートWの[11]ジョンソンと芝で結果を残した2人です。良い流れをハードに引き継ぐことができるのか、注目です。

その他のノーシード勢では、着実に結果を残して70位前後までランキングを上げてきた19歳のデミノーと、デビスカップで日本と対戦するボスニア・ヘルツェゴビナのバシッチが個人的には注目です。

■イズナー山

前週は大得意のアトランタで優勝した[2]イズナー。流石にアトランタほどではありませんが、ワシントンも準優勝3回、4強2回と得意な大会の一つです。奥さんの出産が迫っているため、アジアシリーズは出場しないことを表明、NAF争いでは一歩後退した形になりますが、全米オープンまでに荒稼ぎしてしまえば当確にすることも可能です。今シーズンは本当に充実した戦いを続けており、得意の北米シリーズでも活躍すると予想するのがむしろ順当と言えるでしょう。

そんなイズナーと順当に勝ち進めばR16で相見える[16]ルブレフは復帰3大会目となります。ウマグ、グシュタードの2大会では1勝2敗とまだまだ本調子には遠い状況です。ルブレフとR32で対戦する可能性のある[WC]ポールは昨年ミュラーやプイユを下してQFまで勝ち進んだ選手です。昨年の今頃はアトランタ、ワシントンと2大会連続QFという成績で注目されましたが、今シーズンは右肘の故障で長期離脱を余儀無くされていました。復帰後初のツアー本戦ですが、昨年活躍したこの地で再び輝くことができるでしょうか。

[6]プイユはマスターズ以上の大会でほとんど勝てていない、苦しいシーズンを送っています。どこかで復調のきっかけを掴みたいところですが、糸口が見つからないままここまで来てしまいました。そうは言っても、500以下の大会で結果を残しており、レースランキングでも20位台と、いますぐランキングが急落する状況ではありませんが、余裕があるうちに何らかのきっかけを見つけたいところです。プイユの下には、こちらも復調のきっかけを掴みたい杉田。一時は30位台まで上がったランキングも、今や73位。シンシナティQFなど大型失効を目前に控え、とにかく結果が欲しいところでしょう。

タイトルとURLをコピーしました