【プレビュー】2018Week24(シュトゥットガルト、スヘルトーヘンボス)

全仏OPは、十分良いプレーをしたティエムさえも寄せ付けず、クレーキングナダルがなんと11度目の優勝を果たしました。11勝って、錦織圭のツアー全体の優勝回数と同じです。ジョコビッチがグランドスラム4大会合わせて12勝です。それらに匹敵する数字をたった一つの大会で叩き出すという、まさに異次元の成績です。

さて、2018年のクレーシーズンも幕を下ろし、短い芝シーズンの始まりです。まずは250の2大会、シュトゥットガルトとスヘルトーヘンボスです。どちらもすごく発音しにくい都市名ですね。(どうでもいい)

シュトゥットガルト(ドイツ、ATP250、Grass)

元々、ウィンブルドンの翌週にクレーコートで行われていた大会ですが、2015年から芝にコートをチェンジしてウィンブルドン前哨戦シリーズに組み込まれました。芝コートになってからの優勝者はナダルティエムプイユ。ちなみにドイツ人選手は1991年を最後に26年も優勝者が出ていません。特にクレー時代も含めて2度の準優勝があるコールシュライバーには地元ファンからの期待も大きいでしょう。

そして、テニス界の生ける伝説が帰って来ました。クレーシーズンを全スキップした[1]フェデラーが満を持して芝シーズンに参戦です。万全の状態で帰ってくる可能性が高いと思いますが、フェデラーの状態には要注目です。

詳しいドローはこちらをご覧下さい。→Stuttgart draw

■フェデラー山

優勝候補筆頭中の筆頭、[1]フェデラーの初戦の相手は予選勝者vsミーシャ・ズベレフの勝者。芝巧者、サーブ&ボレーの使い手であるミーシャは普通は楽なドローではないが、2017全豪でマレーを下し勢いに乗るミーシャをフェデラーが一蹴した試合は記憶にも新しいのではないか。昨年だけでフェデラーが3戦全てストレート勝ちしているこのカードでコケることは考えにくい。

逆サイドの[8]シャポバロフは下部大会も含めてほとんど芝の経験がなく、未知数。芝でどこまでできるのかは非常に興味がある。ここは芝が得意な選手もおらず、誰が勝ち上がってもフェデラーに対抗するのは流石に難しいか。

■キリオス山

[4]キリオスはヒューストン以来約2ヶ月ぶりの参戦。全仏直前のリヨンではダブルスのみ参戦し、ソックとのペアで優勝。しかし全仏はドロー後にwithdrawということで、状態は未知数。芝シーズン直後にはシンシナティ準優勝の大きな失効が待ち構えており、そろそろ結果を残せないとシード確保が厳しくなってくる。

[8]F.ロペスはクレーシーズン3勝5敗と苦しんだが、彼の本番はこの芝シーズン。36歳のベテランがフェデラーに負けじと躍動する姿が見られるか。

■ベルディヒ山

[3]ベルディヒはクレーシーズンで1勝もすることができず。ウィンブルドンSFも含めて芝シーズンでポイントの約半分を失うので、ここからはまさに正念場。初戦の相手はフリッツvsペールの勝者と相変わらずのタフドロー。比較的一発がある選手なので良い状態で上がってこられると怖い。

対抗シードは[7]ラオニッチ。ローマ、全仏オープンをスキップしたラオニッチは復帰戦。ウィンブルドンで決勝進出したこともある芝シーズンでしっかりリスタートしたいところ。バシッチフチョビッチと芝で全く実績のない選手が続くので、ここで状態を上げていきたい。QFでベルディヒとの対戦が実現すれば、注目カードになるだろう。

■プイユ山

[2]プイユは出場選手の中で唯一のシュトゥットガルト優勝経験者。今シーズンはマスターズ以上で3勝6敗と不振にあえいでいるが、500以下の大会では優勝1度、準優勝2度と結果を残せている。マスターズ以上で結果を残さなければいけないが、250だから負けても良いと言える余裕はない。相性の良いこの大会でしっかり結果を残したいところ。

対抗シードの芝巧者、[5]コールシュライバーはシュトゥットガルトに程近いアウグスブルクの出身で、まさに凱旋試合となる。順当に進むとQFは昨年QFと同じくプイユ戦となるドロー。昨年のリベンジを全く同じ舞台で果たすことができるか。2回戦で激突することが予想される同胞かつ同世代のマイヤーとの対戦も注目すべきカード。

■全体

フェデラーを始めとして、250の大会とは思えない豪華なメンバーが集まった。とはいえ、フェデラーキリオスラオニッチは復帰戦、プイユベルディヒF.ロペスはなかなか乗り切れないシーズンを過ごしている、ということで彼らのコンディション次第では十分アップセットも起こりうる。ウィンブルドンに向けて誰が良い状態を作れているのか、注目して観戦したいところ。

■ダブルス

マクラクラン勉シュトルフ組が第2シードで参戦。プレースタイル的に、芝コートが最も相性良さそうなので、全仏OP1回戦負けを取り返す活躍を期待したいところ。

なお、シングルスでは初戦で対戦するミルマンペラがダブルスではペアを組んで参戦。こういうのは気まずくならないものなのだろうか…(プロだからそこら辺は割り切っていると思いますが。)

スヘルトーヘンボス(オランダ、ATP250、Grass)

1990年からATPツアーの一大会として開催されている歴史のある大会です。昨年まではリコーがスポンサーで「Ricoh Open」という大会名でした。3度の優勝を誇るマウーが参戦しないなど、優勝経験者はミュラー一人。シュトゥットガルトの第8シードが33位なのに対して、スヘルトーヘンボスは第1シードが26位のマナリノ、第8シードが50位のセッピと、かなり緩めのエントリーリストとなってしまいました。しかし、絶対的な存在がいない分、誰が優勝するのかワクワクする大会かと思います。

また、日本人としては杉田祐一の復調にも注目したい大会となります。クレーシーズンで1勝も挙げることが出来ないなど、インディアンウェルズから9大会連続初戦敗退と絶不調に喘ぐ杉田ですが、得意の芝コートで輝きを取り戻してくれることを期待したいです。(書いている間に1回戦勝利しました!おめでとうございます!)

詳しいドローはこちらをご覧下さい。→s-Hertogenbosch draw

■マナリノ山

苦手のクレーシーズンでは1勝しか挙げることが出来なかった[1]マナリノが第1シード。何かと縁がある杉田とは調子までシンクロしている様子である。一番得意な芝シーズンで爆発すべく、幸いにも第1シードを得たこの大会で結果を残したいところ。

対抗シードは、かつてウィンブルドンで錦織を破るなど、芝を得意としている[8]セッピ。マナリノとは芝コートだけで3度対戦しており、1勝2敗。2016年に続き、またここスヘルトーヘンボスでマナリノとの再戦が実現するのか。

■ミュラー山

昨年のウィンブルドンでナダルをフルセットの末破るなど、芝が得意な[3]ミュラー。芝に特化した選手と言われれば、かなり早い段階で名前が挙がる選手ではないだろうか。そんなミュラーはスヘルトーヘンボスが大得意であり、2015-SF、2016-F、2017-Wと毎年結果を残している。今大会も優勝候補の筆頭といってもいいのではないか。

対抗シードは[7]杉田。アンタルヤ優勝という大きなポイントの失効が迫る中、得意の芝コートで反撃の狼煙を挙げたい。2回戦までは芝が得意な選手がいない、比較的楽なドロー。今季好調のベデネは気になる存在だが、ほとんどの結果は得意なクレーコートで残したもの。コートの相性を見せつけたい。少なくともミュラーとぶつかるQFまでは勝ち進みたいところ。

■ベルダスコ山

クレーに強い[4]ベルダスコだが、実は芝の方がハードより勝率が高い。初戦での対戦が予想されるメドベーデフは、昨年の芝シーズンでスヘルトーヘンボスQF、クイーンズQF、イーストボルンSFと結果を残した期待の若手。2回戦屈指の好カードが期待される。

対抗シードの[6]ハーセはいきなり昨年のファイナリスト、カルロビッチとの対戦というタフドロー。芝が得意でないハーセにとってはかなり厳しい戦いが予想される。

■ガスケ山

実力者[2]ガスケは2008年以来10年ぶりのスヘルトーヘンボス参戦となる。初戦は比較的楽なドローだが、対抗シードの[5/WC]チチパスが不気味な存在。クレーシーズンで結果を残したチチパスだが、芝コートではチャレンジャー、フューチャーズを合わせても1試合しか戦ったことがなく、完全に未知数。彼がどのような適正を見せるのかは、この大会のみならず芝シーズンにも大きな影響を与えるかもしれない。

■全体

昨年のファイナリストであるミュラーカルロビッチをはじめとして、上位シードのマナリノガスケなどが優勝候補か。シュトゥットガルトより上位陣が薄い分、実力が肉薄したカードが多く、純粋に試合の面白さという意味ではスヘルトーヘンボスに軍配が上がる可能性も十分あると思われる。

■ダブルス

杉田祐一ヤングとペアを組んで参戦。初戦は第1シードのクボット・メロ組ということで勝つのは非常に厳しいだろうが、杉田にとっていい気分転換になってくれると嬉しい。

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