【プレビュー】2018Week35,36(全米オープン・トップハーフ)

またしても開幕には間に合わず…ウィンブルドンに引き続き、一旦トップハーフのみの記事公開です。

全米オープン(米国、Gland Slam、Hard)

2018年シーズン最後のグランドスラム大会がやってきました。まだマスターズ2大会やNitto ATP Tour Finalsも残っているものの、全米オープンが終わると今シーズンも残りわずかだな、という感覚を抱き始めます。

全米オープンは現役の優勝経験者が7名と、グランドスラムの中ではダントツで多い人数となっています。

全豪:4名(フェデラー、ジョコビッチ、ナダル、ワウリンカ)

全仏:4名(ナダル、フェデラー、ワウリンカ、ジョコビッチ)

ウィンブルドン:4名(フェデラー、ジョコビッチ、ナダル、マレー)

全米:7名(フェデラー、デルポトロ、ナダル、ジョコビッチ、マレー、チリッチ、ワウリンカ)

北米マスターズ2大会ではカナダではチチパスが衝撃の準優勝を果たしましたが、カナダの優勝はナダル、シンシナティの決勝カードはジョコビッチvsフェデラーと、まだまだBig4健在という印象も強く植えつけられた大会となりました。

ツォンガ、ベルディヒなどの不在は残念ですが、全般的に怪我人はかなり戻ってきており、チチパスを始めとして若手の躍進も目立ってきています。誰が主役となるのか、いい意味で予想が難しい、楽しい大会となりそうです。

日本勢は錦織、ダニエル、杉田、西岡の4名が出場です。錦織が注目されるのはもちろんですが、特に好調ダニエルにも大きな期待がかかります。

■ナダル山

このブロックの、いや、全体ドローを通しても一番の注目カードはここと断言して問題ないでしょう。[1]ナダルvsフェレールです。同じスペイン出身の親友かつライバル、2013全仏では決勝でぶつかった超豪華カードです。しかも、フェレールはこれが最後のグランドスラムということを発表しています。世界中のテニスファンを泣かせにくる、これ以上ないカードです。試合の勝敗という意味ではナダルの圧倒的有利は疑う余地がなさそうですが、もはや勝敗を超えるものがこの対決にはあると思います。非常に楽しみだけれども、非常に寂しい、複雑な感情を皆さんも抱いているのではないでしょうか。

さて、このブロックでナダルの対抗馬になりそうな選手は、というと今季好調のシード2選手でしょう。

[16]エドムンドは全豪4強から始まり、最高のシーズンとなっています。芝シーズン辺りから若干失速気味ではありますが、今シーズン初めてTOP30入りした中でよく踏ん張っていると思います。ドローも比較的良く、ナダルと当たる可能性が高いR16まではしっかりと勝ち上がりたいところでしょう。

[27]カチャノフはカナダMS4強の印象が非常に強いですが、全仏、ウィンブルドン、シンシナティMSもR16と、MS以上の大会は4大会連続で16強以上の成績を残しています。今大会で16強以上を残すためにはナダルを破る必要があり壁は高いですが、非常に高いポテンシャルを持っている選手なだけに、好勝負を期待したいです。

[18]ソックは浮上のきっかけを掴めないまま全米まで来てしまいました。ウィンストン・セーラムでは結果を残したとはいえ主戦場はチャレンジャーのアンドレオッシには流石に勝つかもしれませんが、今の状況でベデネvsバシラシビリの勝者に勝てるビジョンは正直あまり湧かないです…

ミュラーもフェレール同様、最後のグランドスラムとなります。特に芝コートでは非常に恐れられたミュラーも35歳。個人的には2016楽天オープンで生観戦した思い出が強く印象に残っている選手です。最後にどんなプレーを見せてくれるのでしょうか。

その他ノーシード勢ではハンブルグ優勝のバシラシビリ、キト準優勝のラモスビノラス、ウマグ準優勝のぺリャ、ブエノスアイレス準優勝のベデネと今季クレーコートで結果を残している選手たちが多いですが、彼らがハードコートでどのようなプレーを見せてくれるでしょうか。また、予選を完勝して来た若手の[Q]ルードにも個人的には注目したいです。

QF進出争いは、本命:ナダル、対抗:カチャノフエドムンドという予想です。ナダルの状態が余程悪く無い限り、やはりナダルが大本命になると思いますが、特にカチャノフ辺りがどこまで食い下がることができるか楽しみです。

■アンダーソン山

今シーズンは安定して強さを見せている[5]アンダーソン。そんな彼の躍進は1年前の全米オープン準優勝から始まりました。大躍進を遂げたこの地で再び世界を驚かせることができるでしょうか。

順当に勝ち上がるとアンダーソンと最初に当たるシード選手は[28]シャポバロフ。昨年は予選から登場してR16まで勝ち進みましたが、今年は堂々とシード選手としての出場です。1回戦の相手はなんと同じカナダの後輩[Q]アリアシムという衝撃のドローとなりました。流石にシャポバロフが押し切る展開になるかとは思いますが、手の内を知り尽くした相手同士どのような試合になるかは楽しみです。

ここはノーシード勢もクエリーセッピシャルディールブレフハリソンと実力者揃いで誰が勝ち進んでもおかしく無い好カードが続きます。

反対サイドには[9]ティエム。クレーコーターの印象が強く、特にシーズン後半戦は苦手としていますが、全米オープンは16強が3回と結果を残せています。ハードコートの中では比較的遅いコートということが作用しているのでしょうか。

[19]バウティスタ・アグーはウィンブルドン欠場→グシュタード準優勝→マスターズ2大会欠場ということで、どのような状態か心配されます。元気であればティエムとの対戦が予想されるR32は好勝負が期待されますが、果たして。

ノーシード勢ではウィンストン・セーラムでエドムンド、カレーノブスタを破って準優勝を果たしたジョンソンが上位進出候補の筆頭でしょう。

QF進出争いは、本命:アンダーソン、対抗:ティエムシャポバロフ、穴:ジョンソンという予想です。状態が良ければ、バウティスタ・アグーも対抗には入ってくるでしょう。個人的にはアンダーソンとシャポバロフの打ち合いが一番楽しみです。

■デルポトロ山

ドローを8分割した時に、私が一番面白そうだと思うのはこの山です。

カナダMSを欠場したため非常に心配していましたが、シンシナティではチョン、キリオスを破り一安心させてくれた[3]デルポトロ。流石に満身創痍の中での戦いが続いており、5セットマッチにどれだけ耐えられるかという不安はありますが、それを差し引いても優勝候補に入れないわけにはいかない選手でしょう。

そんなデルポトロの近くのドローには[PR]マレー。初戦の[PR]ダックワースに続いて、1回線屈指の好カード[31]ベルダスコvsF.ロペスの勝者に勝たなければデルポトロとの対戦は実現しませんが、それでもやはり期待してしまいます。Big4の3人が流石の強さを見せている今、マレーの復活も数多くのテニスファンが待ち望んでいます。

反対サイドには勢いに乗る若手2人がシード選手として入りました。

[15]チチパスは現在最もホットな若手といっても過言では無いでしょう。それほどまでに、ティエム、ジョコビッチ、サーシャ、アンダーソンを続けて破っての準優勝は衝撃的でした。流石にシンシナティでは心身共にお疲れだったようですが、リフレッシュして臨む全米オープンでも再び主役になれるか、注目です。

順当に勝ち進むとチチパスとR32で激突するのは[20]チョリッチ。インディアンウェルズSF、マイアミQFもサプライズでしたが、やはり今シーズンのハイライトは決勝でフェデラーを破ってのハレ優勝でしょう。元々クレーが最も得意でしたが、今シーズンはむしろハード、芝で結果を残して自信をつけました。

このブロックではF.マイヤーも最後のグランドスラムです。また、36歳の[Q]ロブレドは予選を勝ち抜いての出場となります。ツアー本戦はワイルドカードで出場したバルセロナ以来。F.マイヤーはチョリッチ、ロブレドはチチパスと、いずれも若い強敵との1回戦ですが、ベテランの意地も楽しみにしたいです。

その他ノーシード勢で注目はウィンストン・セーラムで優勝したばかりのメドベーデフでしょうか。今シーズンはシドニー優勝に始まり、随所で結果を残しています。年齢の近いチチパスやチョリッチに負けたく無い気持ちもあるでしょう。

QF進出争いは、本命:デルポトロ、対抗:チチパスチョリッチ、穴:マレーという予想です。ただし、デルポトロが絶好調という状況でなければ、対抗勢との差は大きく無いのではと予想しています。実績のある実力者が強さを見せるか、勢いのある若手が押し切るか、注目のブロックです。

■ディミトロフ山

早期敗退が続いている[8]ディミトロフですが、流石にドロー運が悪すぎて可哀想な状況ではあります。そんな中ですが、ウィンブルドンに続いてグランドスラム2大会連続で1回戦の相手は[WC]ワウリンカとなります。ナダルvsフェレールと並んで1回戦で最も注目されるカードでしょう。コート適性を考えるとウィンブルドンの時よりもディミトロフは分が悪いと思われますが、ディミトロフの維持にも期待したいところです。何より、名勝負となることを期待しています。

[25]ラオニッチは出場数が少ないシーズンとなってはいますが、シンシナティでもジョコビッチとフルセットまで戦うなど、出場した大会では一定の結果を残せています。2回戦はシモン、3回戦はディミトロフorワウリンカと対戦することが予想され、ややタフなドローではありますが、上位シードに復帰するためにも上位進出しておきたいところです。

[11]イズナーは奥さんの出産のためアジアシリーズの欠場を発表しているので、これが離脱前最後の大会となります。NAF争いという意味では、ここでかなりのビックポイントを叩き出さないと厳しいですが、出場権には関わらず、キャリア最高のシーズンに地元米国で大きな結果を出したい気持ちは強いでしょう。

[24]ジュメールはデ杯入れ替え戦で日本と対戦するボスニア・ヘルツェゴビナのトップ選手ということもあり非常に気になっていますが、組み合わせとしては悪くないです。イズナーとの対戦が予想されるR32までは確実に勝ち上がりたいでしょう。

その他シード選手では、チリの若手ジャリーに注目。クレーコーターの印象が強かったのですが、ウィンストン・セーラムのダニエル太郎戦で印象が変わりました。途中からジャリーのミスが増えて差がつきましたが、途中までは「え、ハードでも普通に強いじゃん」と。チリのテニス界を背負っていくべき選手、非常に楽しみです。

あと、シモンと1回戦で対戦する[Q]ハリスがハード8W-1Lと不思議な成績で気になった(というか絶対ミスだと思った)ので詳しく調べたのですが、どうやら8勝全てデ杯のようです。南アフリカではアンダーソンについで2番手、21歳の若手です。南アフリカって本当にアンダーソンしかいないと思っていたのですが、ちゃんと後継者が育ちつつあったのですね。

SF進出争いは、本命:イズナー、対抗:ワウリンカラオニッチディミトロフ、穴:ジャリーと予想します。このブロックもデルポトロ山と並んで接戦のブロックです。

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